ふるさと納税で日本を元気に!~鴻巣市~
種類豊富!色鮮やか!そして丈夫! 三拍子揃った鴻巣産の花を育ててみませんか?
鴻巣産の花、特に花苗は「きれいで丈夫!」と評判です。色彩鮮やかで種類も豊富な鴻巣産の花苗を生み出す「花のまちこうのす」の秘密に迫ります!
色鮮やかに育つプリムラジュリアン
出荷を待つマリーゴールド
よく咲くスミレ
鉢物のシクラメン
埼玉県鴻巣市は、街の中心地から北東に位置する寺谷(てらや)地区を中心に市内約10キロメートル圏内に200以上の花き(※注1)生産者がひしめく花のまち。これだけ多くの生産者がひとつの地域に集まる例は世界でも例を見ないといいます。地域では5,000種類以上の花を生産しており、鴻巣産の花苗は種類や色も豊富なのが特徴です。なかでも、プリムラ・サルビア・マリーゴールドは、日本一の出荷量(※注2)を誇っています。
(※注1)花卉(かき)とは、主に観賞用の草花の総称。花卉の種類は主に、根のない「切り花」と根のある「鉢物」とに分かれ、鴻巣市の生産者のほとんどが鉢物用を育てています。文中では「花き」と表記。
(※注2)鴻巣市ホームページ「鴻巣市の花の歴史」より
どこまでも平地が広がる関東平野。立ち並ぶハウスは鴻巣市の原風景(フラワー通り)
鴻巣市は、関東平野特有の起伏のない大地と、豊富な日照時間に恵まれ、昔から米・麦・野菜など農業が盛んな地域でした。また、足下を掘れば潤沢な井戸水が出るなど、花の栽培に適した条件に恵まれています。雪害・水害・地震などの災害も少なく、まじめでコツコツ、勤勉な人が多い風土であることも、花栽培が発展した理由のひとつです。
ポット栽培が盛んな鴻巣市
花苗を中心に花の生産が始まったのは戦後まもなくのこと。現在、市の花に制定されているパンジーの種が持ち込まれ、農産物とともに一部の生産者が栽培を始めました。しかし当時は、食べるのもやっとという時代。「花なんて作って何の足しになる」という声もあるなか、東京まで50kmほどという地の利を活かし、戦災を免れた世田谷や練馬など、復興の早い地域を中心に地道に売り歩いたところ、食糧が優先で売り手が少なかったこともあり、また花の美しさは人々の心を癒し、需要は徐々に高まっていきました。国道17号線や国鉄(現JR)など、当時から交通の便が良かったことも流通の発展につながりました。
花は、通常の積み荷のように容易に重ねたりできないため、運搬は専門業者が行います。鴻巣市内は地域に生産者が集中しているので集荷がしやすく、流通しやすいという利点があります。
首都圏へ出荷するメリットは、ほかにも。関東地方はおおむね気候や地盤が似ていることから、鴻巣産の花は首都圏の消費者の土地になじみやすく、育てやすいのです。
競りの様子。6台の大画面に映し出された花苗を買参人がパソコンで競り落とします
花の一大生産地であると同時に、流通の拠点でもある鴻巣市。市内には、地方都市としては全国でもめずらしい、東日本有数の花き専門市場があります。市場は平成14(2002)年に第三セクターとして設立。鉢物・花苗に強く(取扱量全体のおよそ9割)、花は全国から、買参人は主に東日本全土から集まります。なお、最新の自動競りシステムでの競りの様子は見学が可能。花育活動の一環として、毎年、市内全校の小学3年生も見学に訪れます。
市場では多くの人が働いています
競り人さんの背中。渋いです!
競り落とされた花たち
鴻巣市の花の生産方法には大きな特長が2つあります。それは、「高回転型」と「多品種・小ロット生産」。ハウスでは徹底した管理のもと、一年に3回以上(生産者・品種による)の高回転率で生産を行っています。花き市場も近いことから、スピーディーな出荷・流通も可能です。
また、少ない品種で大きなロットを栽培するのが一般的なのに対し、鴻巣市は200以上の生産者たちが5,000種以上の品種を小ロットで育てます。種類豊富な花を一年を通じて消費者へ届けることができるというわけです。
最善の管理で育てます
鴻巣市内の花き生産者・有限会社 花工房すなが(代表・須永 健司さん)の、ポット栽培のハウスにお邪魔しました。ハウスの中は、光・温度・風・雨などあらゆるセンサーが機能し、花にとって常に最適な環境となるよう24時間体制で管理されています。高品質な花づくりを目指す一方で、働く人たちへの配慮や、持続可能な農業への取り組みなど、さまざまな活動も行われています。
鴻巣市の花・パンジー
【行き届いたハウス管理】
ハウス内はセンサーで一括管理。ハウスの屋内外には、風・雨・温度センサーなどさまざまな仕掛けがあり、花にとって快適な条件をあらかじめ設定しておくと、屋根やカーテン、暖房機が自動で動く仕組みです。取材中も、少し風が吹くと屋根が閉まったり(開こうか迷ったり!)、暖房機が動き出したり。まるでハウスが生きているよう!
屋根やカーテンは自動で開閉
ハウス屋根に設置した風センサー
ボタン一つで一括管理
【持続可能な農業への取り組み】
水にも恵まれている鴻巣市。栽培用の水は地下から汲み上げています。また、ポット栽培は、土をポットに入れて種を育てるため、通常、野山の植物が土に生え、やがて朽ちて土に還り土を豊かにするという自然のサイクルから孤立してしまうという懸念点があります。そこで須永さんは、畜産業者から堆肥を買い取って土を作り、自然由来のサイクルに適った土をポットに使うことで、自然循環を繋ぐよう心掛けているそう。
地下120メートルから地下水を汲み上げ
ポット苗にはハーブ苗や野菜苗も
自然のサイクルに則した土を使っています
【さまざまな工夫】
実はハウスで働く人の退職理由の多くが腰痛。負担の少ない作業台をハウスに設置したり、ポットに自動で土を投入する機械を導入するなど、大事なスタッフが長く働けるための工夫をしています。
腰に負担の少ない作業台を採用
台は可動式!ハウス内に運搬車も入れます
ポットの土を自動投入する機械
産地における人のつながりについて、株式会社鴻巣花壇(パンジーハウス) 代表の成澤彬暢さんにお話を伺いました。
鴻巣市で開発された品種「ガザニア」(すなが工房・農林水産省品種登録済)
―生産者の皆さんにはどのようなつながりがありますか
地域には鴻巣市花組合(以下、組合)をはじめ、複数の団体があり、生産者がそれぞれ任意で加入しています。戦後復興から高度成長、バブル期を経て、現在、活動しているのは親世代から引き継いだ二代目、三代目が多いわけですが、組合の青年部を中心に、お互いに情報交換をしながら、自分たちが育てる花の品質の向上や技術革新に励んでいます。私自身、生産者としては二代目ですが、親がやっていた頃から、生産者同士は仲が良いなと感じています。また、二代目、三代目の人たちは、消費者のニーズにも敏感に反応していて、研究・勉強熱心で前向きな人が多いですよ。
お話を伺った成澤さん(右)と鴻巣市花組合の須永さん(左)・吉田さん(中)
―よい関係を築く秘訣はどんなところでしょうか。
花農家の子たちはみんな育った環境は似ていて、子どもたちはハウスや畑のあいだを駆け回って遊んで、畑仕事を手伝うのが当たり前でした。親たちは正月以外ほとんど休みなく働いていたので、小さいころはサラリーマンの家庭に憧れましたよ(笑)。
市内にこれだけ(200軒以上)ひしめきあう生産者同士が地域で良い関係を築いているのには、育てている花の種類が違うということも大きいと思います。鴻巣地域だけでも5,000種類以上の花を育てています。同じ市内でも土や光、風の特徴が少しずつ異なり、向いている花が違うというのと、あとは、性格ですね(笑)。生産者の性格によっても花と育て方の相性があるように思います。それぞれが自分に合う花を育てているから隣近所と競合しない。それがうまくいく秘訣のひとつだと感じます。
―鴻巣産の花で暮らしに潤いを!